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Vol.8 
CSAJ「エクゼクティブセミナーin長崎」
〜ITが創る・支える・変革する「地方創生」
フォーラムエイト特別顧問 川村敏郎


平成30年7月6日(金)〜7月7日(土)まで一般社団法人コンピュータソフトウエア協会(CSAJ)企画の掲題のセミナーに、フォーラムエイト代表取締役社長 伊藤裕二、同副社長 武井千雅子、今回初参加の執行役員 松田克己、昨年に続き二回目の参加となる筆者 川村の4名で参加しました。

長崎県は、県の総面積の半分ほどが大小900を超える島で構成されその数は日本一とも言われています。中でも長崎市は我が国の幕末から明治期のわずか半世紀での急速な産業化(産業革命)に於ける「西洋の知識と技術の導入の窓口」としての重要な役割を担い、平成27年7月には「明治日本の産業革命遺産 製鉄、鉄鋼、造船、石炭産業」は世界遺産(全国8県11市の遺産群)登録され、なかでも長崎は造船、石炭産業で中心的な役割を担っていました。また今年は日本独自の宗教的伝統「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が世界文化遺産に登録され、2世紀以上にわたるキリスト教禁教政策の下でひそかに信仰を伝えた人々の歴史を物語る12の史跡、集落遺産などが登録されました。

また、1945年8月9日の長崎市への原爆投下という痛ましい悲劇を乗り越え、見事に復興を成し遂げ、美しい自然と共に、世界遺産に代表される豊富な観光資源にも恵まれ、大勢の国内外からの観光客で賑う世界的な観光地にもなりました。

その一方、日本の地方都市共通の人口減少(少子高齢化)に直面し、地方創生による新産業の発掘と育成は喫緊の課題でもあります。とりわけIT分野では長崎ICT戦略(長崎県情報化推進計画)を掲げ、利便性の高い電子行政の構築、安全・安心に暮らせる地域社会の実現、ICT利活用による産業の活性化、ICT社会を推進するための人材育成・基盤強化など、県を挙げての取組が行われていますが、フォーラムエイトの今後の経営戦略の参考として、また、優秀な人材の招へいの可能性などを含め視察してきました。


長崎県立大学シーボルト校訪問
大村湾の中程の数キロ沖合に世界初の海上空港として1975年に開港された、長崎空港に降り立ったときはかなりの雨が降っていました。CSAJエクゼクティブセミナーの開始は空港から車で15分ほどの大村市の中心街で、JR大村線大村駅に程近い、新鮮な割烹料理が自慢の「寿楽」での日本料理を頂き、ここから長崎自動車道を大村湾にそって30分ほど南下し、JR長崎線の長与駅を最寄り駅とする長崎県立大学シーボルト校の訪問で始まりました。

現在の長崎県立大学は平成20年、旧長崎県立大学と県立長崎シーボルト大学が統合され新「長崎県立大学」が設立され、5つの学部(経営学部、地域創造学部、国際社会学部、情報システム学部、看護栄養学部)から成り、平成30年の学生数は約3000人です。シーボルト大学の名前の由来は、1823年に鎖国時代の日本の対外貿易窓口であった長崎の出島に派遣された、ドイツの医師、博物学者で、長崎で西洋医学(蘭学)の教育を行う塾の開設や日本文化を探求した、当時の出島の三学者の一人で、フィリップ・フランツ・フォン・シーボルト氏の名前を頂いたもので、市民の投票によって命名されたものです。

長崎県立大学シーボルト校のキャンパス

情報システム学部情報セキュリティ学科
今回は平成16年に設立された情報システム学部(情報システム学科、情報セキュリティ学科の2学科構成)の中の情報セキュリティ学科(現在3年目で学生数は約130名)を訪問し学科長、情報学博士の小松文子教授より学科設立の背景、教育理念・目標、カリキュラム概要、進級要件と卒業要件での外部試験の導入、実務・就職支援の一環としての企業研究と企業インターンシップの状況などについて指導者としての熱い思いを込めたプレゼンテーションが行われました。

特に情報システム学部では1年目には学部共通専門科目として、情報数理(情報数学、情報理論、統計演習、微積分学、オペレーションリサーチ)情報技術(コンピュータ・アーキテクチャ、OS・データベース論と演習、ネットワーク設計、プログラミング演習、ソフトウエア工学、シミュレーション演習、Webプログラミング演習など)マネージメント(情報法、情報経済、プロジェクトマネージメント)等の情報処理技術をみっちり身につけさせ、2年目からはその基礎の上で情報セキュリティ学科の専門教育、例えば、認証とアクセス制御、暗号技術、不正アクセス対策技法、セキュアサーバー運用、セキュアデータベース運用、ネットワークセキュリティ、インシデント対応、セキュアプログラミング技法、セキュリティマネージメント・監査・運用などのより高度な専門技術の習得を身につける二段階教育、すなわち入学1年目でのIT基礎教育と2年目以降の情報セキュリティの専門教育の充実に挑戦されています。

また、座学だけではなく学生にはより実践力を身につけるためのセキュリティ演習室が設けられ、実際のネットワーク、サーバー、データベース環境でのよりセキュアなシステムの構築、外からの悪意をもった攻撃に対する防御、またその逆のハッカー技術の検証、インシデント対応技術の実践など、潤沢な設備の下での実習が行われています。

セキュリティ演習室 セキュリティ演習用のIT設備

演習内容の説明と演習室、マシン、ネットワーク設備などの案内は情報セキュリティ学科教授加藤雅彦博士にして頂きました。

この学科は設立3年目で卒業生は出ていませんが、将来の進路や専門性を生かせる就職先を見つけ出すなどの学生自身の意識の向上のための就活支援にかなり力を入れておられ、情報・セキュリティに関連した多数の企業の幹部を積極的に招へいし業界・企業の状況や業務内容の紹介や学生への期待などを話してもらい、自身の現状と、期待される人材像等による本人の将来像のイメージを描く等の意識を高めたり、また学部3年の夏季には3週間のインターンシップ設定なども積極的に行い、長崎県内で11社15人、県外(東京、福岡、名古屋他)15社24人の受け入れ企業の申し出と、その結果学生希望に従った24名の履修先が決定するなど、日本で初めての情報セキュリティ学科設立と運営に先生方の指導者としての確かな手応えを感じさせるプレゼンテーションでした。

学生との交流
引き続き、訪問者代表によるパネルディスカッションと学生約35名との意見交換会が行われました。切り出しは、モデレータ役の豆蔵ホールディングス小屋氏より、IT業界志望動向、今後伸びる業界、給与水準、IT業界の働き方事例などが紹介され、CSAJからは水谷筆頭会長、杉本理事、松倉理事からIT業界で求める人材像、例えば多様性、柔軟性、コミュニケーション能力、変化への対応力等を兼ね備える人材への期待などが述べられました。

引き続き学生からは会社での業務内容、必要とされる技術など活発な質問があり、参加したCSAJと参加企業への関心の高さが伺えました。

長崎県における行政施策の説明
引き続き情報セキュリティ学科の教室を借用され、長崎県産業労働部新産業創造課 井内正人課長より、地域創生の柱としてのスタートアップ企業の育成のためのスタートアップ集積拠点整備事業(拠点の整備、ターゲット企業誘致など)の説明、長崎県の産・官・学の連携による長崎県次世代情報産業クラスター協議会を中心とするAI・ロボット・IOT関連産業育成事業への取組等が説明され、引き続き公益財団法人長崎県産業振興財団企業誘致推進本部 清田純副本部長より長崎県へのIT関連企業への強力な企業進出支援事業として、ながさき人材採用支援プロジェクトの説明を頂きました。

長崎県に於ける地方創生の目玉としての産・官・学連携によるIT関連産業の育成と、これを強力に推進するためのIT関連企業誘致への熱い思いを感じるご説明でした。

クレインハーバー長崎ビルの視察見学
長崎県立大学シーボルト校を後にしてバスで30分ほど、長崎駅に程近く、県立美術館、水辺の森公園、商業施設出島ワーフなどに囲まれた長崎港のほとりに建設され、公益財団法人長崎県産業振興財団が運営する企業誘致の受け皿として2017年12月に竣工したオフイスビル、クレインハーバー長崎ビルを、行政施策の説明を頂きました清田副本部長のご案内で見学しました。名前の由来は長崎港の古称「鶴の港」から命名されたそうです。

地上6階建て、1フロア約340坪の柱レス構造の広くて使いやすそうなビルで、災害時にも電源、給排水を3日間使用可能とする、災害への備えも配慮したビルで、賃料は11,000円/坪、共益費2,000円/坪との事でした。また羽田空港からの足の便利さ(18直行便/日、所要時間1時間40分)も強調されていました。

行政説明を傾聴する参加者


クレインハーバー長崎ビルの見学

懇親会
最最後に、宿泊先でもあるザ・ホテル長崎BWプレミアムコレクションの3階宴会場「アメジスト」で懇親会が開催されました。CSAJ水谷学筆頭副会長による開会挨拶に続いて、長崎県からの来賓と協力団体が紹介され、代表として長崎県知事中村法道氏による挨拶と乾杯の発声で始まりました。

懇親会には、見学先の長崎県立大学シーボルト校で対応頂いた情報セキュリティ学科教授の小松文子博士も参加されました。また、長崎県知事の中村様と歓談させて頂き、知事が自治体システムのシステムエンジニアの責任者としてシステム開発をされた頃からの御縁もあり、長崎県のIT産業の育成とIT関連企業誘致に関する話題で、知事の熱い思いを聞かせて頂きました。

懇親会は総勢CSAJ関係者40名、長崎県側関係者10名が参加し、郷土料理とお酒を楽しみながらの交流も大いに盛り上がりました。宴もたけなわのころ、CSAJ交流委員会 東尾公彦委員長により中締めが行われ、名残惜しくも大盛況のうちに終了しました。


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