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Vol. 14

「ホログラフィー」とは、写真のような「光の強さ」に加えて「光の方向」も記録することのできる3次元像の表現技術を指しています。厳密にはレーザー光を用いて記録するもので、いわゆる「ペッパーズ・ゴースト」と呼ばれるような、透過型フィルムをハーフミラーとして背後と合成しているものなどからは区別されます。今回はホログラフィーおよびその周辺の技術・仕組みと事例についてご紹介します。


■執筆者 町田 聡(まちだ さとし)氏 プロフィール
アンビエントメディア代表 コンテンツサービスプロデューサー。プロジェクションマッピング、デジタルサイネージ、AR、3DメディアのコンサルタントURCF アドバイザー、(財)プロジェクションマッピング協会 アドバイザー。著書に「3D 技術が一番わかる」技術評論社、「3D マーケティングがビジネスを変える」翔泳社 などがある。弊社非常勤顧問。(財)最先端表現技術利用推進協会 会長。
  Twitter:http://twitter.com/machida_3ds
  facebook:http://facebook.com/machida.3DS
  HP: www.ambientmedia.jp

本物のホログラフィーを求めて

ホログラフィーとの出会い

私は大学生のころ(今から40年も前ですが・・)LASERIUM®というロサンジェルスのグリフィス天文台にあるドームシアター(プラネタリウム用)で行われていたレーザー光線による音楽と光が織りなす先進的なレーザーショーを見てその表現の可能性に感動しました。自分でもやってみたいと思い、当時NEC製の0.5mwヘリウムネオンガスレーザー(赤)を手に入れ、LASERIUM®を模してフィルターやリサージュ模様で、音楽に合わせて作品を手作りしていました。(ちなみに現在講演会の発表などで使われる半導体レーザーを用いたレーザーポインターの出力は1mw以下という規制があるのですが、それを活用すれば、実は今でも簡単に小規模なレーザーショーは実現することができます。)

自分でレーザーを持っていたこともあり、それを活用した表現として当然のようにホログラム作品を作りたいと思っていました。しかし、当時はホログラムを作成するには振動を防ぐための除振台や高価な光学部品が必要で、とても学生には手が出せなかったのを覚えています。 ただ、ホログラム作品は手ごろな値段で手に入りました。当時は光学部品を扱うサイエンスショップでアポロが月に着陸したときの模型を撮影したホログラムを売っていましたので、それを手に入れました。まず最初にやったことは、そのホログラム作品(20cm角程度)を小片に切ってしまうことでした。なぜそのようなことをしたかというと、ホログラムの特長の一つに「媒体に記録された全体は、その媒体の部分にもすべて含まれる」という性質です。つまり、アポロ宇宙船は大判でも小片でもまったく同じものが写っているわけです。

小片にしたものを友達に分けようとして、切ってしまったわけです。


さまよえるホログラフィー

「ホログラフィー」とはこのように、3次元像を記録する(写真のように光の強さだけでなく、光の方向までも記録する)ことができる技術の名称(写真でいうとフォトグラフィ)で、それを実現するためにレーザー光を使用した様々な手法が出てきたわけです。そしてこのようにして記録されたもの(写真でいうとフォトグラフ)を「ホログラム」といいます。

また、光の方向を記録することを利用した、記録デバイス(ホログラフィクメモリ)や演算に利用する光コンピューターなどのホログラフィーの特長的な機能を応用した技術を「ホログラフィックxxx」と呼んでいるようです。一方では前述の例にあるように、部分に全体が含まれるような概念や本質を物理学でホログラフィク原理と言ったり、ホログラフィック宇宙論まで存在します。つまり、ホログラフィーの特長を踏まえて応用されることで、人類に大きなブレークスルーを与えることができるかもしれない技術ということが分かります。

画像をクリックすると大きな画像が表示されます。  画像をクリックすると大きな画像が表示されます。
▲図1 ホログラム作品の例(シネスイッチ銀座にて)
※3次元像が記録されているので、見る位置により被写体の向きが変わってみえる

ただ、最近、この「ホログラフィー」や「ホログラフィク」という言葉が、本来の機能や技術的な背景を使用していない、「単なる見た目(なんちゃって)ホログラフィー」にもかかわらず、それが本物のホログラフィーであるがごとく浸透し始めていることが大変危惧されています。 この「なんちゃってホログラフィー」の多くは、「ペッパーズ・ゴースト」と呼ばれる昔からある舞台演出の手法や単なる透過型フィルムをハーフミラーとして背後と合成しているものにすぎません。 以下は本物のホログラフィーではないのに誤用している例です。

■日経新聞  神戸ポートピアホテル、立体ホログラムで挙式演出
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDZ090BU_Z00C14A6TI0000/

■Naverまとめ  【Perfume】【初音ミク】【ガンダム】 これから流行るホログラフィック映像!
http://matome.naver.jp/odai/2135597082926386901

さらに、Microsoftが2015年の1月に発表した製品がそれに拍車をかけるかもしれません。

もし本物のホログラフィー技術が使われているのであれば画期的であり、そうであれば製品登場後にまたレポートさせていただきます。

ただ、言葉というものは、たとえそれが誤用であっても、それがマジョリティーになると本来の意味ではなくなることがあることも事実です。 このあたりがさまよえるホログラフィーの所以です。


本物のホログラフィー

ホログラフィーはレーザー光を用いて記録面に3次元像を記録する技術で、初期には再生(表示)時には元のレーザー光が必要でしたが、現在では通常の自然光で見ることができるようになっています。

また、その見え方も虹色に見えるレインボーホログラム(お札やクレジットカードに用いられている)や、フルカラーで見ることのできるリップマンホログラム、筒状のフィルムに360度に記録して周囲のどこからでも見られる、マルチプレックスホログラム、ホログラムの記録媒体をディスプレイにした電子ホログラフィー(ホログラムディスプレイ)など様々な手法が開発されています。

しかし、大きさや画質の点で印刷やディスプレイなど他の記録や再生方法に置き換わるめどはたっていません。このような背景があるので、似たような技術が切望されて誤用につながっているのかもしれません。


偽物?のホログラフィー

簡単にいうと透過するフィルムや幕、ガラスなどに映像を映し、背景と合成されて見せる技術です。

この原理は、舞台演出として1860年代に考案されたもので、考案者(特許取得)のJohn Pepperの名をとって、ペッパーズ・ゴースト(Pepper's ghost)と呼ばれ大流行したとのことです。

観客側から見て45度にガラスを置き、ちょうどガラスに映り込む舞台のそでなどに合成したい対象を置き、その対象に明かりを当てると写りこみ、明かりを消すといなくなるという効果を利用しています。 この時舞台への照明の明暗も調整すれば、観客からは幽霊が消えたり出たり、物を透過して移動するなどの効果が得られます。(参考:Wikipedia)

画像をクリックすると大きな画像が表示されます。
▲図2 ペッパーズ・ゴーストの応用例

この舞台そでの幽霊が立つ位置を、舞台手前の床や天井に移し、しかも幽霊事態をディスプレイやプロジェクタに変えることで、最近ライブなどで多用されるようになった踊りと映像を一体化させるような演出が可能となります。


究極のホログラフィーと同等な効果が体験できる、「マッピングテーブル」。

実は前回紹介したプロジェクションマッピングテーブルは、ある意味ホログラフィーの効果を完璧に実現しているといえます。それは記録にレーザー光を利用していなくとも、本物の3次元の物体に投影された映像が動くわけですから、360度どこから見ても、しかも完璧な立体感(実物ですから・・)が得られ、かつ映像が変化するので、高解像度フルカラーのマルチプレックスホログラムの完成形を見るのと同等な価値があります。マッピングテーブルは、このように未来のホログラフィーの完成形のプロトタイプとしても活用することができます。

 
▲図3 完璧なホログラフィーの効果が体感できるマッピングテーブル

画像をクリックすると大きな画像が表示されます。
▲図4 ホログラムの記録と再生
※社名・製品名は一般的に各社の登録商標または商標です。



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